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著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (集英社新書) (新書)

著作権とは何か ―文化と創造のゆくえ (集英社新書)

著作権とは何か ―文化と創造のゆくえ (集英社新書)

著作権について基本的な事を具体的な事例などを挙げて説明している。
……としか言えない悪寒。
いやあ、特に変な事が書いてあるわけでも、驚きの事実が書いてあるわけでも無いんでどうもコメントが難しい。
シェイクスピアの作品は元ネタありのものが多いというのがちょっとトリビアだったかな。
そんなわけで印象が薄いわけだが、それだけ客観的な、まっとうな説明が中心の内容という事になるかな。

模倣やパロディをどう捉えるべきかの所は、話題としては興味深いのだが……。
日本に限らずどこの国でもなかなか難しい点らしく、結局グレーゾーンという印象。

大事なのは、著作権が何のためにあるのかという所か。
正当な権利が尊重される事。ただし、権利を守るために、他人の創造的な活動を抑えつけすぎたり、
人々が芸術文化を楽しむ自由を抑圧しすぎないこと。私たちの社会は、ここでも難しいバランスと、
絶えざる自問を求められているように思います。
こう書いてあるように、著作権には権利を守る面も、人の活動を抑える面もあって、白黒では語れないのだろう。

ちなみに個人的には著作権が著作者の死後70年まで持つってのはなんか違う気がするのだが、
そこについてはあまり深く突っ込まれていないのが残念。
まあ、あとがきにあるように著作権の全体像や考え方を示す事が大事、そういうスタンスの本らしいのでやむなしか。

この本の内容とは直接関係無いのだが。
感想を書いてて思ったのが、やっぱ極端な意見とかそういう物があった方が印象は強いんだよなあ。
この本は極端な意見とかはほとんど無かったと思うので、そういう面では印象が弱かった。
そういう面があるから、メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)で取り上げられるような、
マスコミがしっかり調査してもいないのに白黒付けたがる理由になるのだろう。

なんか印象が弱い本、そればかり強調したような感想になってしまったが、
丁寧かつ分かりやすい、良い本だと思う。食い足りない部分はもっと専門の本で読めばいいだろうしね。
糸冬