インザナ地獄

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就活のバカヤロー

就活のバカヤロー (光文社新書)

就活のバカヤロー (光文社新書)

就職決まらないうちに感想書くのもなあ、とか思って読んだものの放置してた。
決まりそう?なところまで来たし、あまり長く放って置くと忘れ去りそうなのでここらで感想をば。

第1章では学生サイドの就職活動に関する微妙な行動をメインに取り上げている。
エントリーシートの誤字。自己分析が過去をアピールするだけで、自分がどういう人間であるのか、
それは何故か、そういった事がなされていないなど。
後は過去の就職活動でウケが良かったという独特のアピールが、今はネットもあるせいかやたらと広まって、
そういうアピールをする学生が多くて困るという話なども。

第2章では大学サイドの就職活動対策などについて。
就職活動に力をいれないと評判が落ちる、就職活動の早期化を盾に、授業、卒論といったものがないがしろにされるなど。
学歴差別はまったくないわけではないが、何かしらの特徴を企業にアピールできるような人間は内定が取れるし、
アピールできない学生は取れない、基本的にはその程度になっているという印象を読んでいて受けた。

第3章は採用サイド(企業側)の採用活動について。
採用についてのプロセスが簡単に説明されているほか、就職人気企業ランキングで上位の企業は、
リクナビマイナビといった就職活動ナビサイトへの参加費用の値下げ交渉で有利といった裏事情?も。
また、企業が説明会も含めて採用情報として示すものは完全な嘘といえるものは基本無いが、恣意的な要素が強い事への警告もあり。

第4章はインターンについて。
昔はともかく最近はインターンをやるのが就職活動の一つとして当たり前となってきており、それが問題を招いているとの主張など。
就職活動の早期化とインターンは結びついており、企業としてはやらなければ優秀な人材を確保しづらくなってしまうので、
やらざるを得ないという状況になっているところもあるようだ。
ゼミナーや説明会の時期にインターンの時期を重ねて、他社へのけん制を行う企業もあるそうだが……どうなんだか。

第5章は就職情報会社、まあリクルートなどについて。
前述の就職人気企業ランキング、についてもこの就職情報会社が作成していたりする。
こうした情報を自分達で作って、企業に対してランキングの順位を意識させるというマッチポンプ的な行為への批判がある。
そして、有名企業ならともかく、知名度の低い企業はこうしたサイトに掲載してもらわないと困るのだが、
情報の掲載やエントリー機能といったものを利用するとかなりの額がかかり、けして少ない負担ではないとのこと。
マイナスのところを紹介したが、もちろん就職に関する情報を広く伝えるという面などの貢献があることも触れてはいる。

内容的にはそれなりの価値がある本だと思うが、著者の毒が強いので読んでて嫌な気分になるかもしれない。
1、2、4章が石渡嶺司氏の書いた内容となっているが、学生も大学も否定しまくりであまり当事者としては気分のいいものではない。
特に、章の最後にあるまとめ、はまとめではなくただの毒吐きにしかなっていない。
ブラックジョークとして楽しめるのならいいのだが、個人的にはあまりセンスのいいものとは思えない。
また、ページの下部に就職に役立つ本や、大学の活動の紹介などがあるが、正直あてにはならないと思って良い。
宣伝要素が強いんじゃないかと。週刊ダイアモンドのような経済に関する雑誌などが紹介されているが、
そういう本の内容が活かせる選考にまで進める人間は就職活動に困る事はないと思われる。
データはウソをつく、という本が紹介されてたりするが、この本(就活のバカヤロー)の内容も誇張などが目立つんで、紹介部分でそう書くぐらいしてみてはどうか。

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)も読んだ事があるのだが、この石渡氏の毒は正直好きに慣れんね。
ショック療法というには真剣さが感じられないし、ジョークというには笑えない。
そっちに力を入れるぐらいならデータ収集とかをもっと頑張って欲しいのだが。

まあそんなわけで、大学2、3年生なら立ち読みしてみるのもいいかと。
じっくり読み込む必要のある本でもないと思うし、個人的に読んでて嫌な気分になるので購入を勧める気にはちょっとならないw
糸冬