罪と罰
- 作者: ドストエフスキー,工藤精一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/06/09
- メディア: 文庫
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タイトルであるとか、よく見かけるあらすじから受けた印象とはちょっと違う、そんな感想。
とはいえやはり注目してしまうのは、
人を凡人と非凡人に分け、非凡人は必要に応じて自分が法を超えた行動を行う事を倫理的に許してよい、
そういう思想の部分だろうか。
作品内でのこの思想についての結論はおいておくとして、個人的に色々思うところがある思想だ。
今の大学(といっても卒業してしまうが)で読んだり学んだりしているうちに、
凡人と非凡人というか、大衆とエリートの差というものはどうしようもなくあって、
その両者を平等に扱うのと、非平等に扱うのと、どちらが社会的厚生を高めるかという。
ぶっちゃけてしまえば、エリートを優遇した方が社会的厚生は高まるのではないかと、そういう方向に俺の考えは傾いている。
現代社会は色々と複雑になりすぎていて、日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で、で言われているような、
「叡智を求める人」でなければ何事に関しても「まともな」判断や行動を行うことが出来ないのではないかと、
そういう恐れが俺にでてきている。
もっとも現在の日本では実際の社会を動かす立場を「叡智を求める人」は望まない傾向にあるようだが。
話を罪と罰に戻すと、この話ではそうした凡人と非凡人についての区別以外にもさまざまな思想や哲学を考えさせられるところが多い。
翻訳のせいもあってか読みづらい部分も多いが、話としても、思想などの面でも面白い作品だと思った。
最近の本とかだけじゃなくて日本の近代文学とかもやっぱ読むべきなんかなー。
しばらくは塗仏の宴とゲーデルの本で時間喰いそうだけど、次はなんかその辺で探してみよう。
糸冬